[時事]中国国民14億人の高まる食の需要に追い付こうと、中国による外国農地の買収の動きが広がっている。中国の民間および国有企業は2012年までに発展途上国の900万ヘクタールに及ぶ土地に投資してきたが、昨年にはフランスの広大な小麦畑が中国ファンドによって買収されるなど、近年はオーストラリア、米国、欧州の土地にも中国からの注目が集まっているという。 ■オーストラリアの巨大牧場を買収 中国の不動産開発業者「上海CRED(Shanghai CRED)」は2016年、オーストラリアの鉱業会社と連携し、豪国内にある世界最大規模の巨大牧場を運営するS・キッドマン(S. Kidman & Co)を買収。同社はオーストラリアの牧場運営大手で、畜牛18万5000頭を所有し、豪農地の2.5%を管理している。 オーストラリアでは、2012年にも中国の繊維メーカー大手・山東如意科技集団(Shandong Ruyi)が豪最大の綿花栽培農場を買収しており、物議を醸している。 ■ニュージーランドでは酪農場 ニュージーランドでは中国食品大手のブライトフード・グループ(光明食品集団、Bright Food)、乳製品メーカーの伊利(Yili)、投資会社の上海鵬欣集団(Pengxin)が地元農業経営者らの苦情をよそに、数十もの酪農場を買収。現在、中国市場で高く評価されている製品が同農場で生産されている。 ■米国の豚肉加工大手も 中国の豚肉加工最大手、万洲国際(WH Group)は2013年、米豚肉加工大手のスミスフィールドフーズ(Smithfield Foods)を47億ドル(約5000億円)で買収。スミスフィールドフーズの負債の引き受けを含め、買収総額は71億ドル(約7500億円)に上った。 ■欧州の穀倉地帯、ウクライナでも 欧州の穀倉地帯とも呼ばれるウクライナでは2013年、国内300万ヘクタールの農地を中国企業に貸し出すとの報道があったが、これに世論が反発。最終的にこの報道は否定された。 |